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読んだ本の紹介です。
【あらすじ】伊豆の弓ヶ浜で彫刻家として母娘の暮らしを支えてきた瑤子の店に、本宮という、京都の印刷会社の社長が、娘の姿と観音像を彫ってくれと頼みにきた。瑤子は本宮を観察するほどに彼に、越前岬から般若の能面を被って投身自殺した近藤の面影を見た。瑤子は一時期越前武生で能面師近藤と同棲していた。
近藤は瑤子を知る前に義姉との近親相姦の苦悩を抱えていた。このことで義姉は自殺、後追い自殺した近藤は手首を傷つけただけの未遂に終わった。
本宮を知るにつけ、好みの酒の銘柄、能演会鑑賞、手首の白い傷痕と、まったく近藤と近似した重なりに瑤子は身震いするほどの怖気を覚えたが、同時に本宮の魅力に心身囚われていく。
瑤子と本宮は娘の像を京都嵐山の神護寺に奉納したあと、桂川の水音の聞こえる宿で一夜を共にする。
その本宮が隠岐の摩天崖から投身自殺することを、本宮を探偵のように観察していた娘の真美から告げられ、二人は慌ただしく羽田から隠岐に飛び立つ。
馬場あき子の一首(ほろびほろびほろび切れざる情念の草生(そうふ)に立ちて人は語るを)に刺激され、能の原理、シテの(現実)と(幻想)を交錯させて描く、サスペンスタッチの作者渾身の男と女の物語。
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